20代の転職希望者がハローワーク利用にあたり気になること。それは、
- ハローワークって20代で利用してもいいの?
- 20代でハローワークを利用するのは勿体ないと言われたけど...。
- 利用方法がよく分からない。
- ブラック求人が多いってホントなの?
といったような事です。
一昔前までは、転職活動をする上での代表的な手段はハローワークでしたが、現在の20代の多くは転職エージェントや転職サイトをメインに利用して転職活動をしている為、ハローワークに関する知識が浅い人が多いようです。
そんな20代の転職希望者に、ハローワークを利用しての転職活動はどのようなものなのかについて解説していきます。
私は企業の人事としてハローワークと連携することもありますし、自分が求職者だった時代にハローワークを利用した経験もあります。そういった経験から、ハローワークを利用しての転職活動はどのような結果になるのか、私なりの意見も交えながら情報提供してきたいと思います。
ハローワークも利用料はかからない
ハローワークを利用にあたって、転職希望者に企業共に料金が発生する事はありません。転職エージェントを利用して採用した場合、成功報酬という形で高いコストがかかる企業もハローワークでは無料で採用支援を受けることができます。
企業にとって、無料は大きなメリット
企業がハローワークを利用する理由の一つにコストが発生しないということがあります。
基本的に、企業がコストを投資しようとする場合はそれに見合った売上利益を期待することができると判断した時です。
営業職やそれ以外の売上利益に直接貢献することが見込める職種については、転職エージェントを利用して成功報酬を支払っても採用後に見返りを期待することができます。
一方で、例えば一般職のようなその他の職種はと言いますと、企業からしてみるとあくまで直接部門で働く社員のサポート役ということで高い採用コストを投資して採用しても売上利益に直結することは見込めません。
ならばということで、同じ採用をするでも少しでもコストを減らしたいということで国が運営するハローワークを利用する傾向にある訳です。
また、地方の中小企業の場合も求人は昔からハローワークに出すといった流れが定着しているので、ハローワークに求人を出す事が多いです。
その他にも、新規で求職者を採用すると助成金の支給対象になるというメリットが企業側にはあります。
1名採用すると50万円、100万円と職種や求職者の属性により金額の違いはありますが、採用するだけで国から助成金が支給されるのであれば、採用コストをかけたくない企業はなおさら、転職エージェントよりもハローワークに求人を依頼する傾向が高まります。
ハローワークにも20代向けの求人はある!
ハローワーク対してあなたはどのような印象を持っていますか?
たまにニュースなどでハローワークの映像が流れたりしますが、映像を良く見ると、比較的年齢が高い、中高齢の人が多く映っているのを見たことがあると思います。
そういった事から、20代の多くがハローワークは若者ではなく中高年の為の機関だとイメージしているのではないでしょうか。
実際のところ、今のハローワークは門戸としてはすべての求職者を対象にしているとは言え、利用する年齢層は50代、60代の求職者が多い為、そういう印象を持っていたとしてもそれも間違ってはいません。
ただ、利用者の割合が中高年の方が多いというだけであり、ハローワークにも20代の求職者向けの求人はたくさん出ています。
一般的に、転職市場では求職者の数と求人の数はリンクします。現在、転職エージェントを利用する転職希望者が多いのも求人が多いからであり、なぜ、転職エージェントに求人が多いのかと言いますと登録する求職者が多いからです。
その流れで言えば、ハローワークには20代向けの求人が少ないという事になるのですが、ハローワークに関しては例外です。20代の求職者の利用数が少ないにも関わらず求人は多数あるのです。
では、なぜ、ハローワークを利用する20代の求職者が少ないのかと言いますと、完全にハローワークのイメージが邪魔をしています。
先程の映像の話ではないですが、視覚的なところからハローワーク=中高齢者というイメージがついているからです。
人はどうしても見た目の印象が記憶に残ります。
特に20代の求職者の場合は、表面的な情報をすべてと捉えてしまいがちです。
私個人の意見としては、利用上の注意は必要ですがハローワークも転職方法の一つにしても全然良いと思います。
特に、女性で一般職を転職軸にしている求職者や地方在住の転職希望者は、ハローワークとの相性は良いです。
ハローワークは一般職の求人が中心
20代で、事務職などの一般職を希望する女性の求職者が多くいます。
メインとしては転職エージェントを利用することの方が良いのですが、ハローワークは捨てがたい存在です。
ハローワークには多くの企業が求人を依頼し、その中心職種が一般職です。
一般職と言えば、20代の求職者はどのようなイメージを持ちますか?
残業が少ない?
家庭と仕事の両立ができそう?
必要以上のプレッシャーが少ない?
どれも正解で、一般職に転職をするとその後の働き方はかなり安定を期待することができます。
ただし、一般職のデメリットは賃金面とキャリアアップをすることが難しいということです。
賃金面については、賞与がないものも少なくありません。
また、キャリアアップについても業務の成果により役職が上がるということもありません。
すでに昔の言葉かもしれませんが、『腰掛OL』という言葉を耳にしたことはありませんか?
まさに、腰掛OLと呼ばれる人こそが一般職に従事する社員です。
今の20代の求職者の思考は二極化していて、若いうちからバリバリ働き成果を出し、早く高い給料を得て高い役職に就きたいというタイプと、一般職のように安定を期待するタイプです。
前者であればハローワークを利用しても、それを実現できる求人はあまりありませんの利用をオススメすることはしませんが、後者の場合は、転職エージェントとともにハローワークを利用する方が絶対に良いです。
一般職の採用ターゲットは基本的に女性になりますから、一般職を希望する女性の転職希望者は、ハローワークにも登録しておきましょう。
地方の転職希望者はハローワークが良い
同じ20代の求職者だとしても、居住地によりハローワークを中心に利用した方が良いケースがあります。
それは居住地が東京近郊、大阪、名古屋、福岡以外などの都市圏でなく地方在住の求職者です。
転職エージェントは、民間の利益を追求することが必要とされる企業が運営しています。
どの企業も利益を上げるためには、市場が活性化している必要があり、そうなると地方よりも東京や大阪などビジネスの中心エリアが主戦場になりますので、転職エージェントの求人だけではエリアによってその数に偏りが出てしまいます。
大手の転職エージェントは地方にも拠点を構えていることもありますが、そこまで積極的に採用支援は行っていません。
また、地方の企業としても、職種に関係なくなるべく採用コストは抑えて採用したいと考えていますので、無料で採用できるハローワークを中心に採用活動を展開しています。
自分が今どこに住んでいるのかを認識した上で、自分を取り巻く環境として転職エージェントを利用すべきかハローワークを利用すべきか判断しましょう。
東京などから地方で転職を考えている場合、今はハローワークでもインターネットを活用して求人を公開していますので利用してみてください。
東京近郊に在住の方は若者正社員チャレンジもおすすめ
東京近郊にお住いの20代の求職者限定にはなりますが、若者正社員チャレンジという仕組みを知っていますか?
広告などを行っていないため、多くの20代の求職者は知らない仕組みではないかと思います。
この仕組みを運営する母体は東京しごとセンターという機関で飯田橋のハローワークのすぐ近くにあります。
運営元はハローワークではないのですが、東京都が運営費を捻出していて、国と東京都が若者の就職支援をしています。
ハローワークを利用すると、最近では東京しごとセンターを紹介することが多いです。
ですので、ハローワークと東京しごとセンターは1つと考えても良いです。
若者正社員チャレンジという仕組みは、フリーターやアルバイトなどの非正規雇用の若者の転職を支援すること目的に創設された仕組みになりますが、最近では20代であれば転職エージェントと同じように転職と同じ感じで採用支援を受けることができます。
※若者正社員チャレンジは、お住まいの県によっては東京都以外でもおこなっています。関東圏でいえば、埼玉県でも若者正社員チャレンジといったものがありますし、群馬県や神奈川県ではわかもの就職支援センター(ジョブカフェ)というものを県が運営しています。
若者正社員チャレンジ+お住まいの県などで一度調べてみるといいでしょう。
今回の記事を読みダイレクトに東京しごとセンターに登録することでも良いですが、できればハローワークや転職エージェントも同時に利用しつつ求人選択の範囲を広げておいた方が、幅広い転職活動ができると私は思います。
ハローワーク利用の注意点
ハローワークを利用するにあたり、20代の求職者に注意してもらいたい点がいくつかあります。
ひとつは、ハローワークは企業からの求人依頼に対して原則的に拒否することができないということ、もうひとつは、求人元である企業がどのような企業であるかを深くまで調査することをしないということです。
それによりどのようなリスクが発生するかと言いますと、転職後に労働環境が悪かったりブラック企業に転職してしまう可能性があるということです。
20代の転職希望者は、企業を見定める力が備わっていないためブラック企業への転職リスクが高いです。
そのリスクを排除するために転職エージェントを利用するという求職者もいるぐらいです。
私としても、ハローワークの利用をオススメする以上無責任なことは言えませんから、ハローワークの利用方法としては、ハローワークを全面的に信用することはやめた方が良いと言っておきます。
あくまで求人紹介だけを期待して、その紹介された求人がどのような企業なのかはしっかり自分で調査することが必要です。
とは言え、20代でまだ社会人経験が浅い求職者にそのようなは難しいことです。
その場合、転職エージェントを利用するという方法があります。
ハローワークにあった求人がブラック企業かどうか自分で調査できない場合の為に、まずは転職エージェントを同時に利用しておくのです。
そして、ハローワークで紹介された求人を転職エージェントのキャリアアドバイザーに共有し、キャリアアドバイザーからどのような企業なのか情報収集するのです。
転職エージェントは無料の転職支援をしてくれますし、求人元の企業情報提供も当然、無料の範囲になります。
ハローワークの担当者は素人当然!
求人紹介だけを期待してくださいと言ったのは、企業調査だけが理由ではありません。
転職エージェントで言うところのキャリアアドバイザーと同じようなポジションにハローワークの求人紹介担当者がいます。
この担当者はどのようなスキルや知識を持っているかと言いますと、転職支援に関係するスキルや知識はほぼないと思ってください。
国が運営するハローワークであるため、求人紹介担当者も公務員ではないか?と思うでしょう。
残念ながら、ハローワークの求人紹介担当者は、ハローワークが直接採用したアルバイトやパートの社員です。
もちろん多少の教育は受けていますが、転職エージェントのキャリアアドバイザーほどの優れた能力や深い経験を持っていることはありません。
実際にあった話ですが、求人紹介担当者からのアドバイスによりその求人に応募し内定を取ったまでは良いとしても、転職後にその企業がブラック企業だったという話はあります。
国が運営するハローワークだからと言っても、転職後の責任は取ってくれません。
転職はあくまで20代の求職者が自己責任で行う範囲のことであり、転職後のこともすべて自分で解決しなければならないのです。
イメージ先行の転職活動はやめよう!
20代の求職者向けにハローワークを利用した場合の転職活動の実態についてご紹介しましたが、どのような印象を持ちましたか?
恐らく、「今まで思っていたよりも利用価値がありそうだ!」と思う求職者の方が多いのではないかと思います。
ハローワークは使い方だけが問題です。
転職エージェントと同時に利用することで、リスク回避することもできますし、職種によっては転職エージェントと同じぐらいの数の求人紹介を期待することも可能です。
今までテレビなどの視覚的なイメージを先行してハローワークを敬遠していた20代の求職者は考え方を180度変えてみましょう。
転職活動の鉄則は可能な限り選択の自由を広げることです。
どこにどのような求人が眠っているか分からないですし、転職活動には答えがありませんから、ハローワークを利用する事で思ってもみない転職結果(良い意味で)を得られると私は思います。
とは言え、転職活動の中心は転職エージェントにするべきことは変わりませんから、転職エージェント&ハローワークの同時利用がオススメです。
20代の女性の求職者は特にこの方法が効果的だと思いますので、是非実践してみてください。