今の転職市場には数多くの求人があり、また、その求人の種類(職種など)も多岐に渡り、求職者からすると選び放題という状況にあります。
年齢層別にみると最も転職しやすい年齢は20代になるのですが、この数年である職種と20代の求職者との相性が非常に良い状態にあります。
相性の良い職種とは、エンジニア職になります。
エンジニア職と言ってもそこからいくつかの職種に分類することができるのですが、転職市場では一括でエンジニア職と定義することになっていますので、今回はエンジニア職という表現で統一していきます。
中途採用を行う企業が今最も力を入れている職種はエンジニア職です。
特にIT関連企業はエンジニア職がいなければ事業を行うことは不可能ですし、その他のIT関連企業も社内のネットワーク構築などで今の時代、絶対に必要な職種になっています。
これらの背景からエンジニア職の求人が非常に多くなっていますが、企業からするとエンジニア職の中途採用はかなり苦戦状態にあります。
なぜ20代の求職者とエンジニア職の相性が良いのか?
相性とは、分かりやすく言いますと、内定確度が高いということになるのですが、なぜ、内定確度が高いのか説明をします。
20代の求職者自身に何か特別な理由があるということではなく、転職市場全体に関わる理由になります。
今のようにIT技術が必須になったのは約10年ほど前です。
その前までは、IT技術の進歩に伴い急激にニーズは高まったと言っても今ほどではありませんでした。
当時は、エンジニア職よりも営業職が花形でした。
営業職と言えば企業の売上利益に直接貢献することがミッションの職種になるのですが、今のエンジニア職は、その技術により開発や設計、運用、構築を行いそれらの工程が直接、企業の売上利益に貢献するポジションになっています。
転職市場含めた労働市場を見ると、ニーズはあってもエンジニア職としての経験がある人材が非常に少なく、企業の需要数と大きな開きがあるのです。
本来、企業としては中途採用において教育や研修を行う必要がなく、採用後にすぐに戦力となる人材を求めているのですが、あまりにも人材枯渇状態にあり、募集要項や採用基準を引き下げざる得ない状態にあるのです。
そこで、20代の求職者です。
企業としては募集要項で経験者を必須要件にしたいところですが、そこにこだわっているといつまで経っても採用することができず経営や事業にマイナスインパクトを与えてしまうため、社内の経験者をOJTや教育担当者として配置し、未経験者でも可能という募集要項の条件引き下げを行っています。
同じ未経験でもこれから長きに渡り企業で就業する可能性があり、かつ、体力的にもプラス要素となる20代ともう10年ぐらいで定年を迎える40代、50代の求職者であれば、皆さんが企業側だとすればどちらを採用したいと思いますか?
答えは言うまでもないかもしれませんが、20代でしょう。
企業の採用苦戦の状況により、20代で、しかも未経験の求職者にもエンジニア職での転職チャンスが到来しているということです。
20代の求職者で、エンジニア職を少しでも希望するのであれば、今がチャンスです。
企業側も少しずつではありますが、未経験者を採用し社内で教育することでエンジニア職の人員改善ができつつあります。
一気にこの状況が変わるとは言いませんが、今後は、確実にこのチャンスは減っていくと考えて間違いないでしょう。
なぜ、エンジニア職はオススメできるのか?
数ある職種のなかで将来性という観点で考えると、オススメできる職種は限定されてきます。
将来性とは、今だけではなく将来的にマーケットバリューが高まり、かつ、ビジネスマンとして置かれた自分の立場を維持向上することが可能ということです。
労働市場は、マーケットバリューが高まれば、それだけ給料も上がりますし、その後、何かの理由で転職するとなった場合でも苦労することはほとんどありません。
そんなメリットを持つ将来性のある職種がエンジニア職です。
今以上に今後はIT関連技術が必要になってきますし、IT技術の進歩に上限はありません。
技術を向上するために各企業、または各エンジニアは日々、研究や勉強を重ねています。
ご存知の求職者も多いと思いますが、IT関連技術の動きは非常に早く去年リリースされた技術は今年はもう古いということも珍しくないのです。
特にIT業界の企業では、新しい技術により新しい商品やサービスを生み出し市場価値を高めて企業反映や業績向上に向けて努力しています。
このように今後の日本はIT関連技術が中心になっていきますし、エンジニア職のニーズは上がる一方です。
今と今後を考えても20代のうちからエンジニア職として転職し、転職後、実務経験や技術を習得することは今、転職活動をしている求職者にとっては最高の手段と言えるでしょう。
20代のエンジニア職の転職活動の仕方
20代の求職者でエンジニア職の転職を希望する場合、どのような転職活動を実践すれば良いのかご紹介します。
確かに売り手市場であり、そこまで苦労することはないと言っても、20代でエンジニア職の求人に応募する求職者の数は年々増えています。
未経験者歓迎の求人の応募資格は、当然未経験者は該当しますが、実務経験3年以内の求職者も該当します。
3年以内であっても全くエンジニア職としての経験がない未経験者よりも確実に転職後に企業は教育工数を減らし戦力になる期間も短く済みますので、多少であっても経験がある求職者を採用したいと思うことが本音にあります。
未経験者である20代の求職者は是非、今回ご紹介する転職活動の方法を実践して頂き、日必要に無駄な時間を過ごしたり、不必要な見送りを受けないようにしましょう。
どのような求職者であっても、企業の選考を受けて見送りの数が多くなると必要以上に自信喪失になってしまい、メンタルバランスが崩れ面接などで本来の自分を表現することができず、選考見送りが更に増えたり思うような転職活動をすることができなくなる傾向があります。
ポイントその1・・・絶対に転職エージェントを利用すること
まず実践して欲しいことは、転職エージェントを利用して転職活動をするということです。
求職者の転職活動方法にはいくつかの手段があるのですが、転職エージェント以外の方法はすべて自分で転職活動をする自己応募になります。
この方法では、20代の求職者がエンジニア職の求人で内定確度を上げることはできませんし、優良求人に出会える機会も少なくなります。
あるIT企業はエンジニア人材を短期間で採用するために転職エージェントに対して支払う成功報酬の費用を100%の料率で支払うケースもあります。
何が言いたいのかと言いますと、エンジニア職の求人を公開する企業の多くは転職市場に即戦力となるエンジニア人材が少ないため、少しでも自社が有利に運ぶよう料率を上げた形で転職エージェントに求人を依頼しているということです。
求職者の鉄則は、自分が利用する転職方法に1つでも多くの求人があるということで、そう考えると転職エージェントがベストな選択と言えます。
20代の求職者は、転職エージェントを利用することでエンジニア職として内定確度が上がる履歴書や職務経歴書の添削、面接練習も経験することができます。
加えて、もう一つ。
エンジニア職は広義で言えば、いくつかの職種に分類されるとお伝えしたと思いますが、1つ1つの求人を紹介する際に、その求人のエンジニア職の職種がどのような仕事内容になるのか具体的に知ることができます。
特に未経験の20代の求職者の場合は、日ごろ接することがなかった新しい職種であるエンジニア職のいろはをレクチャーしてもらうこともできますから、エンジニア職の具体的な仕事イメージを習得することも可能です。
企業によって同じエンジニア職であっても設計、構築、運用など、上流から下流まで違いがありますので、自分が希望する仕事内容の求人に応募し、転職後にミスマッチがないようにしておく必要があります。
恐らく余程のことがない限り20代の求職者に転職エージェントは初回の求人紹介で10社以上の紹介をしてくれるものと思います。
今は、それだけ20代の求職者を各企業とも採用ターゲットにしているということです。
ポイントその2・・・IT業界の求人は避けること!
何事もそうですが、経験がない・経験が浅い状態でハイレベルなことをすると、今の自分の力量との差が大きくうまくいかない可能性があります。
転職は、今まで働いたことがない企業に入社する訳ですし、しかも、エンジニア未経験であれば、新しい職場に新しい職種で入社するというダブルリスクがあります。
IT業界はエンジニア職が中心の業界で、その技術力も相当高いと思ってください。
そこにエンジニア経験が浅い、未経験の20代の求職者が転職しても、レベルが違い過ぎて基礎基本がない訳ですからついていくことが難しいのです。
今回の転職では、一旦、ハイレベルな環境は避けて、自分の力量にある中レベルの環境を狙うことをおすすめします。
そうすると力量の差以外にどのようなメリットが求職者にあるのかと言いますと、内定確度が上がります。
理由は、20代の求職者の特徴は、ネームバリューがあったり、服装自由や若者向けの福利厚生が充実しているIT企業の転職に憧れを持つ傾向があり、その企業の求人に応募が殺到します。
殺到するということは、それだけ選考倍率が上がりますし、相対的な基準により選考基準も上がります。
つまり、内定確度が下がり転職しにくい状況になるということです。
同じ20代ですから、それらの企業に応募したい気持ちは分かりますが、そこを一旦、堪えて頂き、そうではない業界、企業の求人に積極的に応募してみてください。
同じエンジニア職でも応募数はかなり違います。
具体的に言いますと、ネームバリューがあったり、服装自由や若者向けの福利厚生が充実しているIT企業が10だとすると、それ以外の求人は2から3です。
企業からすると母集団形成が十分でない場合は、必然的に近いぐらい選考基準を引き下げざる得ないのです。
レベルは違ってもエンジニア職で転職するということは変わりません。
また、ほぼ経験がない20代の求職者からするとレベルは中でもエンジニアについて教育を受けたり初歩的な実務をやるだけでも価値があります。
また、IT企業などに比べて社内的なスピード感も早くはありませんので、じっくり教育してくれますし、求職者にとってもゆとりを持ちながらエンジニアとしての経験を積むことが可能です。
ポイントその3・・・キャリアビジョンを描いておくこと
最後にお伝えしたいことは考え方です。
直前にあまり人気がない企業のエンジニア職の求人に応募すべきとお伝えしました。
この選択を取る前提は、その転職が最後ということではなく、その転職はその次以降の転職に活かすための経験期間と考えるということです。
20代ですから、ビジネスマンとしてはまだまだ先があります。
20代でエンジニアとして転職し、5年程度、実務経験をするともう未経験者ではありませんし、経験が浅いレベルにもありません。
十分、経験者として転職市場で戦えることができる人材になっています。
今回の転職先には申し訳ないのですが、自分のキャリアを積むための修業期間として考えて、その次以降のキャリアもこの段階で明確にしておきましょう。
人気がない求人企業は比較的、労働環境も緩やかで残業が少なめです。
その空いた時間を使って専門学校に通うなり書籍を活用するなり技術力を高めておきましょう。
併せて労働時間中は、実務経験を積むことができますから一石二鳥の環境を自分で整備することができるのです。
中長期的なキャリアビジョンを明確にすることが大事なことです。
短期的な視点で今回のエンジニア職での転職を考えると軸がなくその後のキャリアにブレが生じてしまいます。
転職活動と同時に教育訓練を受ける!?
求職者のみなさんは、必ず前職や現職が存在するはずです。
ということは、社会保険に加入しているということになるのですが、今まであまりこのあたりを意識したことがないという求職者の方も今回を機に意識して欲しいのです。
その理由は、社会保険は基本的に掛け捨ての保険です。
ただ、名前に保険とある通り、何かあったときの補填や保障をしてくれる制度です。
毎月、保険料を支払って知識がないばかりに使えるときにその制度を使えない、知らなかったから使えないでは勿体ないです。
こと、転職活動においては、是非、雇用保険は意識して欲しいところです。
雇用保険は制度上、基本的に企業側と労働者である求職者が折半負担になります。
『そうなの?そんな保険あったの?』という求職者は、是非、給料明細を見てください。
毎月必ず控除されていると思います。
通常、雇用保険は失業に対する給与補填が主目的になりますが、実は職業訓練に対しての給付も整備されています。
エンジニア職の経験がなく、転職活動前、または転職活動中に少しでもエンジニアの知識や技術を習得して転職活動に活かしたいと考えているのであれば、職業訓練や専門学校に通いましょう。
全額とまではいきませんが、なかなか大きな費用負担があります。
特に専門性が高い訓練の場合は、その費用負担は大きいです。
転職活動に社会保険を利用しながら自分のマーケットバリューを高めて内定確度を上げるということも手段として覚えておきましょう。
参考までに厚労省のここでご紹介した制度のURLをご紹介しますのでご興味のある方は確認してみてください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
絶対に転職できるから諦めないこと
20代の求職者のあるある話として、転職活動がうまくいかないときに自分が希望しない業界や企業で内定が出たということで、妥協性が強くそのまま転職してしまうケース。
または、本来希望していなかった業界、企業でも面接を受けて自分の評価が高いと気持ちが高ぶりその企業にそのまま転職してしまうケース。
いずれにしても共通することは本来の希望や転職軸とは異なるということです。
残念ながら20代の求職者はまだまだ社会人としての経験が未熟で、その場その場で判断してしまうことも多々あります。
そのような考えでエンジニア職の転職をすると、転職後にエンジニア職はやっぱり自分に向いていないなど自分を不幸にしてしまう大きな原因になってしまいます。
例え転職活動の進捗が良くなくても、エンジニア職は今後必ず伸びる職種で転職市場には必ず20代の求職者を求める求人があります。
この今と将来の事実を絶対に忘れず内定が出るまで最後まで諦めずエンジニア職への転職にトライして欲しいと思います。
エンジニア職として転職することができれば、高い役職・高い給料は十分可能性としてありますし、自分の生活を豊かにすることもできると思います。
エンジニア職としての転職方法がいまいち分からない、自分がエンジニア職で転職できるのか不安があるという20代の求職者は是非、今回の記事を読んで前向きな気持ちになって頂ければと思っています。