20代の転職活動では、今後のキャリアの方向性を定めるために絶対やっておかなければいけない自己分析。
そのやり方について解説していきます。
自己分析とは?自己分析をすることのメリットとその必要性について
転職活動における自己分析とは、自分のそれまでの人生を振り返り整理整頓し、転職の目的(キャリアプラン)を明確にするということです。
自分の強みや弱みを理解しているという人は多いと思います。しかし、その強みや弱みなどパーソナルの部分をよりリアルにするために、可視化し文字や文章にするということで、今まで感じなかった強みや弱みなど新しい自分を発見することができるのです。
転職希望ということは最低でも1社以上の企業在籍経験があると思いますので、社会人としてどのような業務に従事し、どのような実績や経験・スキル・知識を身に付けたのかを合わせて言語化し転職活動や転職に活かすことができます。
自己分析はなぜ必要?
私は転職エージェントとして20代の転職支援を数多く経験していますが、その都度、自己分析の重要性について言ってきています。
なかには、本当に転職活動で自己分析は必要なのか?重要なのか?という質問を受けることがあります。
自己分析を必要かどうかが分からないという人にこそ自己分析に重きを置いて欲しいのですが、転職活動の質を向上させるため、転職失敗のリスクをさげるためにも自己分析は絶対に必要なプロセスだと思ってください。
自己分析の出来がその後の転職活動の出来に直結するものと思って頂いて結構です。
人はそれまでの生活のなかで、ある程度、自分のことを理解している・・・つもりになっています。
『つもり』が転職活動では厄介な要素になり、面接官からの浅い質問であれば、『つもり』の範囲での自己理解でも対応することができますが、面接官は1つの質疑応答の中から、更に深い質問をしてくることが多いです。
その段階までくると『つもり』の自己理解では対応することは難しいです。
転職経験の浅い20代の人が想像する以上に、自分が日ごろ考えることもなかったような、周りから質問されることがなかったような想定外な質問を面接官は用意しています。
ここで今、この記事を読んで頂いているあなたに質問があります。
『あなたは、なぜ今回転職しなければならないのですか?』
この何気ない質問に明確な理由で答えることができる人はどれぐらいるでしょうか。
転職は来年ではダメなのですか?または、去年、転職してはダメだったのですか?
時期的なことも含めて、なぜ今転職しようとしているのか自分自身が納得できる答えを持っていますか?
自分が納得できない理由や答えであれば、他者である面接官は納得するはずがないですし、説得力ある答えをすることもできないでしょう。
このように自己分析を行い自己理解を明確にしておかなければ、転職軸や転職テーマが定まらないということになってしまいますから、転職活動を始めることよりも、まずは自分を俯瞰して、自己分析から転職活動をスタートさせる事が大事なのです。
また、今の転職市場は良い状況にあり20代の転職希望者は多くの求人を集めることができます。求人が多いことに越したことはないのですが、あまりにその数が多くなると自分が希望しない条件の企業や職種、業界に興味を持ってしまい転職活動が混迷することに繋がります。
そのようなリスクを回避するためにも自己分析は重要なのです。
自己分析のメリット
転職前に自己分析をする事で得られるメリットについて解説していきます。
自己分析には次のようなメリットがあります。
1.転職軸、転職の目的を明確にする
自己分析で転職軸や転職のテーマを明確にすることができます。
転職に何を求めているのかという事で、転職先に求める労働条件や労働環境などの諸条件や、10年単位先の自分をイメージしておくという事です。
どのような社風の、どのような職種で、どのようなポジションで、どのような仕事内容をしたいのですか?
これは自分では分かっているつもりでも、いざ面接官にそれを説明するとなると、なかなかうまく説明できないものです。
相手に説明ができないということは、自分自身でさえ分かっていない証拠で分かったつもりなだけなのです。
自己分析を徹底することで、転職先に求める条件などが固まりますから、それはつまり、自分のそれまでの経験などを軸にして、転職先企業に求める業界や職種、または企業を絞り込むことができるようになるのです。
転職活動の出だしの段階で自己分析をして転職軸を明確にすると、その後にブレることはありませんし、非効率な転職活動をすることもなくなります。
20代で転職を考えている人は、入社前のイメージと入社後のギャップを理由に転職を考えている人が多いです。
自己分析がないままの転職活動は転職軸がない状態で、短期的な視点でしか求人選択ができません。そのため、転職後に違う企業に転職すべきだったという後悔や失敗のリスクが高まります。
2.面接や書類選考での自己アピールに具体性が増す
就活生時代と転職希望者の自己分析での大きな違いは業務経験があるかどうかということです。自己分析の比重としても、やはり企業在籍経験からなる実務上の内容がメインになります。
転職活動中に企業の選考を当然受けますが、企業の選考では「何ができるか?」ということは面接官が気にすることであり、100%質問されることでもあります。
その質問に対してアバウトな内容しか答えられないのであれば、面接している面接官からすると期待を持つことには繋がりませんし、選考通過する可能性は低くなるだけです。
自己分析で自分の業務経験での強みや弱み、何ができるかなどを明確に洗い出しておくことでそれらを的確に伝える事ができます。
自己分析は面接官からの質問にロジカルにしっかりと回答するための大きなヒントとなります。
3.自己理解をし自分の人間性をアピールしやすくなる
企業は、20代の応募者に関しては業務経験と同じぐらい人間的な要素を見極めてきますので人としての自己分析も軽く見てはいけません。
業務経験と人物面の両面を意識したなかで、面接官に自分のアピールできる点を探し出し、説得力ある内容にしておくことが必要です。
特に20代前半に対してはポテンシャル採用が多いです。自己分析をして人として自分の人間性のアピールできる部分をたくさん見つけておくことで、面接時に好印象を与えやすくなります。
また、逆に自分のダメなことを明確にすることでそれを面接時に出さないように気をつける事もできます。
20代の転職希望者に推奨している自己分析のやり方
自己分析のやり方は1つだけではありません。今回ご紹介するやり方は、あくまで一例であり私が転職エージェントとして20代に推奨している自己分析のやり方です。
年齢により自己分析のやり方は違いますし、自己分析の作り方についても明確な答えやルールはありません。
自分でこの作り方が自分に合っているという場合はその方法でも良いのです。
結論として、転職活動に役立つ自分を知る情報源になればそれで良いです。
私が推奨する自己分析のやり方は、恐らくいくつかある自己分析のやり方のなかでもかなり簡単であり、1人でも十分に行うことができる内容です。
1.とにかく書き出すことで整理する
まず1つ目は、今に至るまでの出来事や経験などを書き出し、自分史を作るというやり方です。箇条書きでも構いませんのでとにかく洗いざらい書くという事を意識してください。
生まれてから学校を卒業するまでの人生の出来事を振り返り、書き出しましょう。
幼稚園時代、小学校時代、中学校時代、高校時代、大学時代というようにいくつかの時代に分けて年表式にすると作りやすいと思います。
それぞれの時代にあった出来事を書いたら、なぜ自分がその出来事に遭遇したのか、また、その出来事に対してどのような行動を取ったのか、どういう感情になったのかを書きましょう。
趣味や特技も大事です。それぞれの時代で趣味や特技も違うでしょう。
また、それぞれの時代で付き合った人間関係も違うと思います。
あらゆる内容を年表式に書き出すことで、自分の個性をあぶり出し強みや弱みを明確にします。そして、強みが今の自分にどう活かされているのか、また、弱みが今の自分をどのような課題として残っているのかを書き出してください。
この方法は時間がかかることではありますが、自己分析を行う上での情報の抜けや漏れが少なく済みます。
自己分析の鉄則はなるべく多くの情報を自分に仕入れるということになりますので、書き出す方法はかなり効果があります。自分のこれまでのことを自分で思い出して書き出す訳ですから、目に見える形で情報をインプットすることもできます。
この書き出した内容から企業にアピールできる自分のストロングポイントを抽出していくのです。
2.バイオリズムでグラフ化する
幼少期から現職含めた現在に至るまでの感情の動きを折れ線グラフにしてみてください。
出来事の他に、自分の心(モチベーションの上下)のバイオリズムが分かるようになります。
自分が何をしているときにテンションが上がったのか、何をしているときにモチベーションが下がったのか、それにより人生全体のバイオリズムの上げ下げ状態はどうだったのかを知ることができます。
自分が何をやっているときに満足できる時間を過ごすことができていたのかを知ることで自分の得意分野を知ることもできます。
自分が満足しないことが多い業界や職種を転職先として選ぶことはないでしょう。
人生全体を見渡し、自分が満足できる業界・職種・個々の企業はどのような企業かを満足度指標から割り出すことができます。
ただ、難点は書き出す作り方よりも雑になるということです。
3.Will・Can・Must
最後にご紹介するやり方は、転職という文化が欧米諸国から輸入されたこともあり、欧米諸国の転職エージェントが求職者に対して紹介している自己分析のやり方です。
外資系の転職エージェントを利用すると、必ずと言って良いぐらいこの3つの視点での自己分析のレクチャーがあります。
Willとは、『やりたいこと』です。
転職後に自分がやりたいことは何か?を基準に考えて自己分析をまず行います。
Canとは、『できること』です。
やりたいこととできることを混同している20代の人は多いのですが、やりたいこととできることは似ているようで全くの別物です。
やりたいこととできることを線引きする意味でも、これまでの人生経験から転職先で自分ができることは何かを明確にしましょう。
できることが企業の求める要素です。
やりたいことは、あくまで自分の自己満足の話であり中途採用基準ではあまり意味がないことです。
やりたいことよりもできることを大事に考えてください。
Mustとは、『やらなければならないこと』です。
やりたいこと、できることとは違い、求人企業が求める要件・入社後にやるべき事に該当します。
求人には必須要件と任意要件の2つがありますが、必須要件がやらなければならないことだと思ってください。
この視点を持つことで企業の立場になって自己分析をすることができるようになります。
やらなければならないのなかに自分のできる事が少ないのでればそれはオーバースペックです。企業の選考を受けても見送りになるでしょうし、運よく転職できたとしても転職後に相当しんどい状況になるので私はその求人には転職しない方が良いと思います。
今回、3つの自己分析の方法をご紹介しましたが、私は20代の人に対してこの全てをミックスさせた方法をオススメしています。
自分視点と企業視点の両視点により客観的に自分を見つめることができるためです。
採用する側の企業が自分をどう評価するかにより転職できるかできないかが決まる訳ですから自己分析のなかに企業視点を取り入れることも必要だと思っています。
自分の強みは何か探し出すことが最も大事
自己分析を行うことの必要性やメリットについてはお伝えしましたが、自己分析を行う最大のメリットは自分の強みは何かを探し出すことだと思います。
しっかりとした分析結果からなる強みこそが本当の自分の強みであり、転職活動で企業にアピールできるレベルの強みだと言えます。
転職活動において、履歴書や職務経歴書などの応募書類は自分を売り込むセールスレターです。面接での受け答えは自分を売る為の営業トークです。
ですから、企業に自分を売り込むためには強みをしっかり把握しておかなければいけないという事です。
強みや実績だけではない、面接官はココも見ている
面接官は結果だけを面接内で確認することはなく、なぜその結果に至ったのかのプロセスも重視しています。
その理由は、仕事の成果は一人では難しく必ず周りのサポートも必要であり、そのサポート者との仕事上における連携はどのようなものだったのかも知りたいからです。
企業は組織であり、組織は個の集合体です。
組織のなかで求職者がどのような人間関係を構築していたのかをプロセスから知ろうとしています。
自己分析を一人でできない場合
自己分析は決まった正解があるわけではない為、自己分析の精度に自信が持てない、一人で自己分析を行うことに対して不安を感じる人も多いです。
そういった人は転職エージェントを利用してキャリアアドバイザーと自己分析を進めていくと良いでしょう。
自己分析により転職活動の進展はかなり違いますし、転職成功の鍵を握っている内容にもなっています。
客観的な視点を持つという意味でも第3者に相談するという事はメリットがあります。
1人で自己分析をすることができない人は積極的に利用してみてください。