「転職活動中だけど、面接で苦戦している。」
面接が思うようにいかずに苦戦している人は、面接時にNGな転職理由を言ってはいませんか?
20代で転職をするにあたって、面接では絶対言ってはいけない転職理由(志望動機・退職理由)というものがあります。それを知っておくだけでも面接で不合格になる確率をぐっと下げることができます。
では、言ってはいけない転職理由とは一体どんなものなのでしょうか?
私の転職エージェントとしての経験や人事としての経験を基にお教えします。
企業が転職理由を気にする理由
年齢関係なく、早期離職での転職活動は転職市場で絶対的に不利です。企業から需要があるとはいえ、早期離職が多い20代では転職理由が企業にとって重要な選考ポイントになります。
なぜ志望動機や退職理由を企業は気にするのか考えた事はありますか?
中途採用で人材を確保しようとしている企業の場合、採用後の継続と貢献についてが選考の重要ポイントです。
企業は高い費用をかけて採用し、その後、新卒よりも高いコストをかけて雇用をする訳です。早期退職しそうな人材を採用することで、企業にとっては次のような損失が出てきてしまいます。
- 採用活動に要した時間や人件費
- 教育や業務の引継ぎなどに要した時間や人件費
利益を出すために人材を補充していくわけですから、それにつながらない事は避けたい(早期退職や人間性が良くない人の雇用)のが企業の本音です。その為、企業としてはまずはリスクマネジメントを重視して求職者がどのような理由で転職しようとしているのかを考えます。
転職理由には現職や前職の退職理由も含みますので、なぜ現職を退職しようとしているのか面接では必ず確認します。その理由がやむを得ない場合は別ですが、退職理由に近い環境や状況が自社にあると判断した場合は、その段階で見送りを考えます。
20代の転職希望者は、早期退職という部分で企業からマイナスイメージを持たれていることも多いですから、転職理由で更にマイナス印象を与えてしまうと見送りになってしまう場合があります。
企業が自分の転職理由を気にしていると強く意識して、軽く対応するのではなく熟慮した内容を面接で話すようにしましょう。
面接ではこれはダメ!不採用につながる転職理由
私はこれまで転職エージェントとして600人ほどの転職支援をしてきましたし、企業の人事としても20代の求職者含めて多くの求職者の書類選考や面接をしてきました。
その経験から、この転職理由はまずいというものがいくつかありますのでご紹介します。
ちなみにこれからご紹介するいくつかのNG理由は、私の経験上では企業の選考で100%見送りになっています。
企業は転職理由に妥協することはありませんので、言ってはいけない転職理由はしっかり覚えておきましょう。
現職などへの不満・批判をしてはいけない
絶対やってはいけない転職理由の筆頭は現職への不満や批判を口にすることです。
これは業界、職種関係なくどのような企業であっても決して良い気はしません。
また、前職への不満や批判を転職理由にしている人は、採用した後に社内で何かあるとすぐに会社批判をし、自分の周りや同僚にそれを広げる可能性が極めて高いと企業はみています。
私自身も経験があるので分かりますが、企業には必ずと言って良いぐらいネガティブな思考を持ち企業を批判し、それをインフルエンザのごとく広げる社員がいます。
これを我々人事の間では『ネガティブキャンペーン』と言っています。
この用語は多少冗談も含まれていますが、ネガティブキャンペーンをはられてしまうとそれを解消することはほぼ不可能で、ネガティブ内容は企業内ですぐに広がり、それまで批判的な考えを持っていなかった社員も伝播されてしまいネガティブになってしまいます。
なので、企業は現職への不満や批判をする人は採用しようとは思いません。転職理由で現職の批判はしないようにしましょう。
仮に本当に事実として批判に値すうようなことがあったとしても、それを馬鹿正直に面接などで発言してはいけないのです。
言ってしまったら一発アウトです。
「正当な評価をされていない」もダメ。あなたの評価は会社がするものです!
ここからは現職に対する不満という部分でさらに細かくお伝えしていきます。まずは主に自分への評価に関係することです。自分としては成果も出していると思っていても、それに見合う評価をされていないことに不満があり、それを転職理由にするというものです。
20代の求職者にこの転職理由は特に多いです。
企業には様々な人事評価制度がありますが、今多くの企業が導入している評価制度はMBOと呼ばれる目標管理制度です。
簡単にこの内容を説明すると、
- 自分で目標を設定
- その目標に対して上司の承認を得る
- 評価期間後に自分で自分の評価をする
- 上司が最終的な評価を下す
というものです。
説明にある通り目標設定も評価結果も自己で行うプロセスがあるため、評価をはき違えている人もいるようですが、最終的な評価は上司などの周りがするものです。
自分で評価するものではないということを再認識してください。
自分を評価をするというプロセスがあるため、最終評価者の評価と自己評価に乖離があり、その乖離に納得がいかないということで正当な評価をされていないと感じてしまう20代の求職者が多いです。
何度も言いますが、評価は周りがするものでありその評価こそが自分の正当な評価です。
自己評価を最終評価と考えても選考を受ける企業からすると全く説得力はありませんし、単なる求職者のエゴやわがままだと感じます。
大半の企業は評価に対してうるさい人をあまり採用しようとはしません。
理由は、批判と同じく採用後に対処に手間がかかるためです。
誤解しないで欲しいことは、言われた評価をすべて鵜呑みにしてくださいと言っているのではなく、あえて面接などの場で正当な評価がされていないなどと評価を転職理由にする必要はありませんと言うことです。
20代の転職希望者に見られる傾向として、自分の仕事の成果に対して寛大的に評価したり、自分の力量を過大評価することが多々ありますが、転職市場ではこの考えや価値観はタブーだと思ってください。
現職の給料が安い、上がらないもNG
評価のなかで、寛大や過大という表現をしました。
若い世代、特に男性には早く出世して高い給料や高い役職で仕事をしたいという向上心や出世欲が強くあります。
向上心などを仕事において持つことは大切なことでその気持ちは忘れて欲しくはありませんが、その気持ちを給料という言葉に変えて面接で話してはいけません。
給料はその人の仕事の成果に応じてアップダウンするものであり、そう簡単に跳ね上がりません。
『隣の芝は青い』という比喩を知っていますか?
20代の転職希望者の多くは自分の今得ている給料に不満を抱いています。
違う会社で働く友人はどのくらい給料をもらっているのか飲み会等で確認することはありませんか?
そこで、『あれ?俺の方が頑張ってるし、成果も出てるのに給料は友達の方が高い!』とある意味、転職を決意する決定打となる情報を仕入れて、その情報を転職活動の面接などでも面接官に伝えてしまいます。
給料にうるさい社員は経営者や幹部などの上位層に毛嫌いされる日本の労働文化がありますので、そのリスクを含む求職者を採用しようとはしません。
仕事量が多い、労働時間が長いもダメ!
当たり前ですが、転職後は労働して対価となる給料を得ます。
この絶対的な仕組みのなかで、まだ転職していない企業に対して労働意欲が低い、仕事はあまり好きではないという印象を与えてはいけません。
日本には働き過ぎに対して規制を持つ労働基準法があるのはご存知でしょう。労働基準法では、1日8時間、1週間40時間という法定の労働時間を定めていて、これを基準にある程度の残業は許容範囲としています。ブラック企業のように毎日終電や会社に泊まるなどは論外ですが、ある程度の残業は想定内です。
ここで気にして欲しいことは、企業によって残業時間に対する想定内の基準が異なるということです。
ある企業での1日2時間が想定内の残業時間に対し、別の企業は1日3時間が想定内の残業時間だった場合どうでしょうか?
3時間を想定内としている企業に、「通常2時間残業なのに毎日3時間の残業があって労働時間が長い。」という転職理由を面接で伝えたとします。
結果は当然見送りです。3時間を想定内としている企業に3時間を下回る残業時間が長いと主張しても説得力はありません。
転職理由に仕事量や労働時間については言わない方が良いです。企業によってその定義は異なりますから、自分では仕事量が多いと思っても面接先の企業では普通のこととなれば全く価値観が合いません。
だからといって、長時間残業を我慢して働けというわけではありません。自分の中での転職の理由が長時間残業なのであれば、それを我慢して入社しても早期退職につながるだけです。
特に注意して欲しい企業は創業間もないベンチャー企業です。
ベンチャー企業は大手企業のように潤沢な資金力がある訳ではなく、限られた人員のなかでやり繰りし経営を維持向上させる文化です。
限られた人員である以上、固定費となる人員増を行うよりも1人の社員に仕事量を多く与えて残業代でカバーした方が安いのです。
また、ベンチャー企業は、仕事を中心に生活し仕事で成長したいという特徴があり、それを期待して入社や転職をしている社員が大半です。
ベンチャー企業に対して仕事量や労働時間を理由にすると、『若いのに仕事中心にしていない』というマイナス印象を与えてしまい、かなり高い確率で見送りになります。
20代の転職希望者が好印象を与えやすい転職理由
転職を考えている20代の人は、企業の面接官に対して『若いのにしっかりした理由を持っている』と思わせることが重要です。
しっかりした印象を与える転職理由とはなんだと思いますか?
それは必然性を企業に伝えるという事です。
必然性を理由にすれば面接官は何も言えない!
マイナス印象を与える理由は論外ですが、それ以外で『まぁ、普通』の転職理由はいくらでもあります。
業界や職種に特化した転職理由も考えられることですし、それも言ってみれば、『まぁ、普通』の理由です。まぁ、普通というのは、だいたいの人が思いつくような理由で他の応募者と共通している理由ばかりだからです。
『まぁ、普通』では、その他の求職者との差別化にもなりませんし企業にとっても印象に残ることはありません。
転職理由だけで面接官の印象に残るベストな転職理由がまさに、必然性です。
必然性とは、必ずその企業でなければならない理由になります。
面接は恋愛で例えられることが多いのですが、自分が好きな相手だけにしか通じない告白理由を伝えることと、その他の相手にも通じる当たり障りない告白理由とどっちが相手に響くと思いますか?
答えは前者ですよね。
企業も告白と同様にその企業でしか通じない理由を面接で求職者から言われるとグッとくるわけです。
では、必ずその企業でなければならない理由はどこでどう探せば良いのでしょうか?
転職活動初心者だったり、経験の浅い20代の人には簡単なようで難しいことだと思います。
必然性をつくるポイント
必然性がある転職理由をつくる為には、以下の事について良く知っておく必要があります。それは、
- 企業理念
- 行動指針
- 経営者のメッセージ
です。
この3つは企業のコーポレイトサイトにあります。この3つのすべてがあるかどうかまでは分かりませんが、この3つのうち1つは必ずあります。
この3つはどの企業にも必ずあるものですが、それぞれの企業ごとに違いがあり2つとして同じものはありません。
つまり、この3つを引用しながら転職理由に含めることで必然性が生まれるということになります。
私が転職エージェントだった時代、20代の転職希望者に特にアドバイスしていた必然性の要素は社風です。社風とは企業の性格と同じです。
自分の性格や考え方と合致しない恋愛相手と長続きしませんよね?
それと同じで、企業と求職者である自分も同じです。企業の社風を転職理由にすることで、結果的にその企業の社風と自分の性格が合致すると伝えることができるので、そうすると面接官は転職したい理由について納得するということです。
数多くの企業を知っていますが、どの企業の人事も必然性を意識していますし、言葉では必然性とは言わないまでも話す内容から必然性を欲しているということが分かりました。
中途採用という性格上、求職者は自分が転職活動をするタイミングに募集をかけている企業にしか応募することはできませんし転職することはできません。
こういった応募者の状況について企業は当然知っていますから、『本当は違う業界や企業に転職したいのに、今の転職市場に自分が転職したい業界や企業がない、または、落ちたから当社に応募しているのではないか?』と多少、疑いの目で見ています。
その疑いの目を解消する意味でもその企業へ転職したい必然的な理由が大事です。
20代は転職理由ひとつで結果が全然違う!
どの層の人にとっても転職理由は重要になりますが、まだ社会人経験が浅いといった理由から20代の求職者はポテンシャルや転職理由を重要視されますので、転職理由はかなり重要だと思ってください。
その上で、まずはリスクマネジメントを行い転職理由にしてはいけない内容は排除し、更に必然性を持たせる転職理由を作ってください。
企業の選考は、ある意味で企業と求職者の騙し合いの部分もあります。
企業も自社のことをすべて話すことはありませんし、求職者も自分の思っていることを素直にすべてを話す必要もありません。
もちろん、職歴詐称などは犯罪行為になりますので絶対にあってはいけないことですが、転職理由については本音と建前という観点で、本音は現職などに不満があっても面接上の建前ではそのような内容は一切口にせず必然性だけを意識してください。
転職理由ひとつで、転職活動の出来はかなり変わってきますし特に書類選考の通過率は顕著です。
20代が最も通過率が低く苦手意識を持つ選考が書類選考になるのですが、選考通過率が低いその理由は転職理由にあるのです。
転職理由さえしっかりしていれば、書類選考は浅く広くしか見ませんので面接に進むことができる可能性が高まります。
書類選考対策としても必然性の転職理由は大きな効果をもたらすことになります。
是非、必然性を実践して頂き充実した転職活動をがんばってください!