20代という若い人材であっても、転職を繰り返すことで若さという年齢面での優位性は失われ転職市場での価値は間違いなく下がります。自分の価値を下げてしまうことは、その後のキャリアに大きな影響を及ぼすため絶対に避けなければいけません。
しかし、現実は20代で転職を繰り返す人が一定の割合でいます。
そういった人はなぜ転職を繰り返してしまうのでしょうか?
そこにはある共通点があるのです。
転職を繰り返してしまう人の特徴
転職活動にはルールがありません。
合法的なことであればある意味何でも許されるぐらい緩い環境であり、転職活動にこれをやれば絶対に自分が希望する企業に転職できるという成功法則もありません。
さらには、だれでもその気になれば明日からにでも自由に転職活動をすることができます。
これを読んでいるあなたがもし、今現在、転職活動中であるのなら1つ確認させてください。
その転職は”転職する”事がゴールになってはいませんか?
20代の転職で気を付けなければいけないのは転職が逃げ道になるということです。
逃げの転職という選択をしてしまった人は高い確率で転職を繰り返すことになります。
そういった人の特徴を紹介していきます。
すぐに転職してしまう人は我慢が足らない
転職を繰り返してしまう人の大きな特徴は我慢強さがないということです。
恐らくどのような人でも100%今の企業に満足しているということはないでしょう。自分が経営者ではないですし、自分が経営者であっても100%満足できる環境はそこにはないと思います。
『満足しない⇒不満を持つ⇒一応我慢する⇒小さい我慢で大きな不満に変わる⇒やめたくなる⇒転職を考える⇒転職活動をする⇒転職』
こういった思考は転職を繰り返すことにつながります。
100%の満足ではないということは、だれでも少しぐらいは不満を持っているということになります。現状に満足していないということですから、それに比例してストレスを抱えることにもなるでしょう。
多くの人は、そこで一応我慢しつつ同時に状況を改善するような動きを取ります。
それでも改善できない場合でも、そのまま我慢してその企業で働き続けるのです。
そして一定期間の我慢のなかで成果を生み出し、客観的に見ても転職市場で十分企業から評価されるレベルまで到達したのを待って、自分のキャリアの向上を含めて転職先に期待するのです。
このようなプロセスを踏んでようやく転職という言葉が頭に浮かぶのであれば問題ありません。ですが、いっときの我慢で終わりその我慢期間も驚くほど短い人がいます。
1日、2日という人もざらにいます。そのくらいの我慢は小学生でもできますし、1日、2日の我慢は我慢のうちに入りません。
我慢することができない分、その大元である不満を解消するために転職を手段にしてしまうのです。
恐らく本人は自分では転職を逃げ道とは思っていないでしょうし、小さい我慢とも思っていないでしょう。
ですが、その小さい我慢ができずに転職活動をした場合どういう結果になると思いますか?
知らず知らずのうちに転職がゴールになってしまっている人というのは、企業の条件に自分の転職軸も合わせがちです。その為、比較的早い段階で転職先が決まりますが、私からすると転職先が決まってしまいますという表現になります。
中長期的に考えるとその転職はむしろ失敗だと思ってください。
会社側に落ち度がなく、個人の不満を理由に転職をした人はその後転職を繰り返す可能性が高いです。
働きづらい現状から抜け出すのが最優先になってしまう
現職に対して少しの不満を解消するために転職活動をして転職先が決まれば、現職を退職することができるということで晴れやかな気分になります。
退職から転職までは1~2カ月程度の期間がありますから、内定が出てから1カ月はやる気はゼロのなかでこなすだけの引継ぎを行い、残りの1カ月は有休を使って悠々自適に過ごすというのが想像できます。
それ自体は全く問題ないのですが、問題は転職先でのことを一切考えていないということです。
なぜ転職先のことを考えることができないのでしょうか?
理由は簡単です。
転職の目的が不満を解消するためになっていて、退職できるというその一点だけに意識が向いてしまっているからです。
転職はあくあまで手段であって目的や目標にしてはいけないことです。
大事なことは、転職後にどう自分が働き成果を出し、自分のキャリアを積んでいくかということです。
転職を繰り返す人の傾向として多いのが、転職先のことをあまり考えていないことはもちろん、キャリア形成を意識していないことです。
とりあえず転職先で頑張れば何とかなるだろうという精神は転職には馴染みませんし無理です。
それに、何とかなるだろうという気持ちがあるのなら恐らく最初から転職しなくても済んでいるはずです。
不満解消だけを目的にした転職からは何も生まれない!
このように、不満解消だけのために転職をしてもその先で待っているのは高確率で転職の繰り返しだけです。
どれだけ求人票や選考段階でその企業に対して良い印象を持ったとしても、その企業に実際に働いた訳ではないですから、その印象は表面上のことだけであり本当の企業の事情は選考段階では分かりません。
これは20代の求職者に限らずです。
多くの求職者はしっかりとした目的をもって転職しています。転職前と後で多少のギャップは想定内であり、多少のギャップがあっても転職の目的が明確にありますから、それを乗り越えてつつ転職先で頑張ろうとします。
一方、不満解消だけを目的にしている場合は多少のギャップが大きな不満になり、『そんなこと聞いていない!』ということですぐに転職を考えるようになるはずです。
ちなみに、私はこのようなタイプの人の転職支援をしたことがありますが、大体の場合、転職先である企業としても、『そんなこと聞いていない』に対して、『そんなこと言っていない』という両者の意見に相違があります。
あくまで一例ですが、ギャップなどを不満に感じて、その都度転職が頭に浮かんでいるようでは何度転職してもキリがないのです。
転職回数が多い20代がその後歩むキャリア
転職回数が多くなるほど自分の希望の企業に転職することは難しくなります。
しかし、転職しなければ仕事がありませんし、生活費を稼ぐ手段もありませんからどこからしらの企業に転職しなければなりません。
その結果考え至ることは、すぐ転職できる企業や選考難易度が低い企業への転職になります。
これらの企業には、一部の場合を除いてすぐ転職できる理由がありますし、選考難易度が低い理由があります。
決定的な理由は離職率が高いということです。
離職率が高い理由はそれぞれの企業で異なりますが、大体の場合、労働時間が長かったり、営業職の場合はノルマが厳しいなどです。
20代で転職が癖になり習慣に変わると、30代以降のキャリアは崩壊に近いです。キャリアを積むということはまず無理であり、キャリアダウンにしかなりません。
そうなる前にできることはして欲しいと思います。
それが不満解消のためだけに転職をしないということであり、不満解消のために転職活動をする前に現職で不満解消するための行動を取るということです。
20代では転職してはいけないということを言っているのではなく、転職を重いことだという認識を持って欲しいということです。
軽く行動できることであるため、環境としてもすぐにできる状況にあり転職しようとする気持ちは分かりますが、周りに流されてはいけないのです。
自分のキャリアは自分で作るものであり、自分以外は正直、助けてくれません。
20代でも3回程度なら転職は可能
とは言えまだ20代であり、しかも今の転職市場は20代の求職者にとってかなり良い環境にありますから、最初の転職から2回、3回程度までは何か転職することはできるでしょう。
さすがに3回目ぐらいになると、それまでの転職活動よりも期間が長くなったり選考で見送りになる数も多くなります。
記事内でお伝えしてきているように、転職市場では転職回数が多ければ多いほど企業から冷たい扱いをうけるからです。
冷たいとは、ストレートに言うと採用価値がないということを意味します。
企業もボランティア活動で採用を行うのではありません。採用にはコストが発生しますし、雇用にもコストが発生します。
そのコストに見合う貢献を企業は期待するのです。
会う前の段階からこの人を採用しても価値はないと思わせてはだめです。
その大きな要因が、転職回数そのものです。
転職回数が多ければそれだけ多くの企業に在籍した経験があるということで、もしかすると経験値が豊富という見方をするのではないかという人もいるかもしれません。
しかし、そもそもとして経験とは実務経験であり企業の在籍経験ではありません。
実務経験は、ある程度の期間同じ企業の同じ業務に従事してこそ培うことができるものです。
20代の転職において、企業経験数は転職市場で全く評価に値しませんし、選考では面接に進む前の書類選考の段階で見送りになる大きな原因になります。
ただでさえ書類選考の通過率は低いのですが、そこに転職回数が多いという要員が加算されると通過率はもっと下がります。
転職回数を減らすためにも転職エージェントを使う!
今持っている自分の転職したいと思う理由が、正当なものであるかどうか、またその理由で転職しても良いのかどうかを客観的な視点で意見をもらうことも必要です。
自分の転職理由について客観的に判断してもらう為には、転職の専門家である転職エージェントが良いでしょう。
転職エージェントへの相談を進める理由
なぜ、第3者に相談する必要があるのか?それは
不満を理由に転職しようと考えている人は、自分の転職理由を客観的に見ることができないからです。
こんなことを言うと、「これだけ悩んでいるのに!」「どれだけつらい思いしてるか分からないくせに!」と言われてしまうかもしれません。
ですが、その悩みは自分の周りの人間も抱えている可能性があるということを知っておく必要があります。皆が悩むようなことであるとすれば、それを理由に転職してもまた同じ壁にぶつかる可能性が高いのです。
転職エージェントにはキャリアアドバイザーがいて、転職支援に効果があるキャリアコンサルタントという国家資格を保有している担当者もいます。
キャリアアドバイザーはこれまで多くの求職者を転職支援している専門家です。
経験が浅く、色々なことを探りながらキャリアを進めている20代にとって、プロの視点で客観的に今の自分を診断してもらうのは極めて重要な事です。
その結果まだ転職しない方が良いという診断をされたのであれば転職は思いとどまるべきでしょう。今は不満が残るかもしれませんが、先々、今の我慢が何倍にもなって自分に良い意味で返ってきます。
求人紹介もそうですし、その他の転職支援もそうですが、キャリアアドバイザーを自分の今後のキャリア形成の強い味方として考えて信用してください。
自分ひとりで転職活動をすると、自分の今の立ち位置が転職市場ではどうなのか知ることは恐らくないと思います。知らないことはそれがリスクとなり、そのリスクを小さくするためにも転職エージェントを利用するべきだと考えています。
20代の経験は30代以降で花開きます。
20代でどれだけ我慢したかにより、30代以降のアウトプット量も変わり、経験が豊富になり、その分転職市場での価値は上がります。
20代ではできれば1回程度の転職に留めておき、そこから1社に長く在籍して深い業務経験と知識を積んで欲しいと思います。
30代以降で無意味な人生の時間を過ごすことがないようにするためには、20代の今を大事にして欲しいのです。
転職回数が多いということはキャリアダウンにしかなりませんので、それにつながる不満を理由とした転職については慎重に考えたうえで行動していきましょう。