今の時代がそうさせるのかもしれません。最近はたくさん働き、お金をいっぱい稼いでゆとりある生活をしたいという考えよりも、生活できる範囲のお金があれば良いからプライベートとの両立を優先したいという、今流行りのワークライフバランスを求める人が多いです。
これについて私個人の意見としては、選択肢の一つとして正しい判断だと思っています。
若い時は仕事に没頭し、仕事で人間成長を目指すべきという考え方もあります。私は体育会系のバリバリ働いてきたタイプの人間ですが、人生は仕事だけのためにあるものではありません。
人生という大きな観点で考えると、仕事だけの人生は勿体ないというのは1つの正しい考え方です。
そこで今回は、ワークライフバランスを重要視している20代の転職希望者に役立つ豆知識をご紹介したいと思います。
まずは業界や職種を絞ろう!
転職先でワークライフバランスを期待するのであれば、まずは業界や業種を把握し、希望を絞る事から始めましょう。
ハードワークを基本とする業界・職種と、そうではない業界・職種がありますので、予め絞って転職活動をした方が効率的ですし、転職後に後悔する可能性も低いです。
選ぶ判断基準は?
業界や職種を絞る際に、何を判断基準にすれば良いのかということになりますが、以下のような企業を判断基準にすると良いです。
- 女性を積極的に採用している企業
- 出産・育児に関して手厚い社内制度が整備されている
一見、女性だけに関わる内容に感じるかもしれませんが、最近では国が男性も育児に積極的に参加するできるよう支援する法令が整備されています。
詳細は割愛しますがパパママ育休プラスという制度がそれにあたります。
女性社員の支援を積極的にしているということは、それだけ男性社員にとってもワークライフバランスを期待することができる証拠でもあります。
どんな業界でも出産・育児に対しての社内制度があるかと言われるとそうではありません。
転職エージェントとして大半の業界を調べてきたなかで分かった事ですが、比較的新しい業界については、ワークライフバランスを積極的に導入している傾向があります。
昔からある業界、またはお堅い業界はどうかと言いますと、ほとんどは昔ながらの働き方を推奨しているのでワークライフバランスを期待する人からすると転職先としては推奨することは難しいかなと感じています。
未経験は厳しいがIT業界はおすすめ
IT業界と言えば、すべての業界のなかでも最も新しい業界と言われています。
IT業界は、エンジニア系の職種が中心で、働き方の特徴から時間帯に関係なくパソコンとインターネット環境があればどこでも仕事ができるということで、夜遅くまで仕事をするイメージがあると思います。
確かにその通りで、夜遅い時間帯まで仕事をする業界ではありますが、時間帯は不規則になります。
ですが、必ず朝から夜遅い時間帯まで仕事をしているかというと、その労働時間の実態は少し違い、労働時間はフレキシブルに選択することができ、週や月で所定の労働時間をこなせば良いという制度をとっている企業も多いです。
IT業界の創業者の中には、自分が今まで社員として働いてきた企業のやり方に不満があり、自分で会社を立ち上げて改善したいという気持ちを持っている人がいます。
なぜ、9時から18時まで必ず出勤して働かなければならないのか?
服装はなぜスーツでなければならないのか?
いくつかの疑問を感じて、IT業界という特異な業界で、日本の労働文化を変えようと真剣に考えている創業者も少なくないのです。
そうした理由から、経営や事業にデメリットにならない範囲で働き方の多様化を推進しているのです。そのなかにワークライフバランスも含まれています。
ITの求人を見れば分かりますが、多くの企業はその他の業界にはない、または普通では考えられないような福利厚生が整備されています。
これもワークライフバランスの一端であり、20代の転職促進の効果があります。
少し前まではIT業界=夜が遅いということで、ワークライフバランスを期待する人からは敬遠されていたのですが、今はその感覚は薄れてきています。
成果さえだせば、服装、労働時間は自由ということで、会社だけが仕事場ではなく街全体がオフィスという感覚を持っています。
子供が小さい場合、幼稚園などのお迎えや夕飯の支度があるでしょう。
そのようなときに、会社を早く帰社し、残りの仕事は自宅で育児や家事をしながら対応できる環境があれば、仕事と家庭の両立を実現できると思いませんか?
求人に記載がない範囲のことも、良い意味で整備されていることもありますから、転職エージェントなどを利用して確実に情報収集を行うべきだと思います。
ただし、IT業界は完全未経験で転職するには少し厳しい業界です。未経験でIT業界へ転職したいのであれば、スキルをある程度身につけてから転職活動を進めた方が良いでしょう。
管理系の職種に的を絞る!
管理系の職種は、顧客を相手にする職種ではありますが、その頻度は営業系の職種に比べるとかなり頻度は低いですから、労働時間を計算をすることができる職種になっています。
特に女性の20代の求職者の場合は、総務や労務の職種はオススメできます。
この2つは転職市場でも人気がある職種になっていて年齢関係なく応募が集まる傾向にあります。
しかも、未経験者歓迎という求人も目立ちますので、それまで総務や労務の経験がない人であっても十分内定を狙える職種です。ビジネス経験が浅い20代でもチャンスは大きいのではないかと思います。
次世代法に対して積極的な企業を探す
転職活動の方法として転職エージェントを利用する場合でも、これからご紹介することはキャリアアドバイザーにも法令的な知識を持っている人はあまり多くありませんから、自分で情報取集するしかないと思ってください。
この記事のメインになる話になりますから、私も極力、具体的にご紹介したいとは思いますが、必ず自分でも法令を確認するようにしてください。
では、本題です。
次世代法という法令を知っていますか?
厳密には次世代育成対策推進法と言います。
子供の育成を確実なものにするために、その責任者である大人である労働者(求職者も含む)の労働環境や育児環境を整備しようとする規定が次世代法の趣旨になります。
国は父母である男女の労働者が雇用される企業側に対して、男女関係なく子供が育つために必要不可欠な父母の子育て環境を整備するように義務づけるようにしたのです。
ただ、すべての企業に対して義務化されている訳ではなく、今のところは約100人以上の労働者を常時雇用する企業のみになっています。
一般事業主行動計画の中身は?
モデル事例として、国は一般事業主行動計画の策定内容を紹介していますが、その内容は企業それぞれ違いますし、国も企業に対して厳しい審査基準を設けている訳ではありません。
なかには、『これは本当にワークライフバランスになっているのか?』というレベルの内容もありますし、見ただけではそれが一般事業主行動計画の策定内容とは分からないようなものもあります。
20代の求職者としては、求人からワークライフバランスに積極的である企業を見極めることはかなり難しいので、私がオススメする次世代法関係で着目すべきことをご紹介します。
くるみんマークという言葉を聞いたことはありますか?
くるみんマークとは、国が一般事業主行動計画を提出した企業で、一定期間、それを導入し続け、離職率の軽減や性別に関係なく育児休業率など一定の基準を上回る企業にのみワークライフバランスが整備されていることを証明する認定マークです。
母親が赤ちゃんを抱いている感じのマークがそれになりますが、電車などで妊婦がカバンなどにぶら下げているのですが、見たことはありませんか?
まさにそれがくるみんマークです。
くるみんマークは国が一般事業主行動計画の合格企業に付与する認定マークです。
くるみんマークを付与された企業は、自社のホームページや営業資料、名刺に利用することができ、採用活動においてはワークライフバランスが整備されているアピールをすることができるのです。
くるみんマークが求人やホームページに利用されている企業は、国からの認定を受けたワークライフバランスに積極的であり、すでに一定以上の成果を出している企業であるということが分かります。
くるみんマークを付与されている企業のもう一つの特徴としては、絶対的に労働環境が劣悪だったり、ブラック企業だったりすることはないということです。
くるみんマークを認定する前に国は厳密な企業審査を行いますので、他に一般事業主行動計画の内容で優れたものがあったとしても、法令違反やそれに準ずる労度環境を持っている企業には付与することはありません。
20代は、ブラック企業やそれに近い企業との相性が良いので、転職先として、それらの企業に転職するという可能性もありますが、くるみんマークを付与されている企業であれば、絶対にその転職リスクはありません。
ワークライフバランスを目的とする転職のデメリット
ワークライフバランスを目的とする転職は正しい選択の一つだと私は思いますが、転職先で仕事をするなかで、もしかすると、『やっぱり20代のうちは、もっと仕事をして高い給料が欲しい』と思うかもしれません。
最近は女性の活躍もすごいですから、男女関係なく、自分の同世代の友人知人の話を聞いて、自分ももっと頑張れるのではないか?もっと頑張ってみたい!と思うことはごく自然なことです。
しかし、ワークライフバランスを目的に転職した場合、そこから高収入や出世を期待した働き方に変えても、その転職先ではあまり意味がありません。
社内で異動したらどうか?という選択もありますが、中途入社では異動は基本的にないと思ってください。
新卒であれば経験がない分、その適性を測ってから社内異動ということはありますが、中途採用者での場合は経験が浅いとしても、長く同じ職種で仕事をしなければ異動ということはないでしょう。
異動とは社内転職とも言われていて、転職から社内転職は、実質短期間で2回の転職をするということと同じです。
採用した側である企業としても想定することはない手段になります。
異動が難しいなら転職しようか?ということだと思いますが、20代のうちにそう何度も転職することを選択してはいけません。
転職とは便利なもので、その気になり採用してくれる企業さえあればだれでも簡単にできる行動です。しかし、ワークライフバランスから出世を目的に変えるからということで早期に転職することは単なる職歴の傷にしかなりません。
一度ワークライフバランスを目的で転職すると、その後、長い年月は、その目的に沿ったビジネス人生になりますので、報酬面や役職面では同世代の仕事で成長を目的とした人に比べるとかなり格差が生まれます。
このあたりのリスクも想定したなかで長期的な視点を持ちワークライフバランスを目的とした転職軸を設定するのであれば、転職後に後悔することもなくなるでしょう。
ワークライフバランス求人は転職エージェントに多い
転職市場にはいくつかの転職方法があります。
いくつかの転職方法のなかで、自分が目的とするワークライフバランス求人が豊富にある方が転職活動では絶対に有利です。
ワークライフバランス求人と言えば、転職エージェントです。
しかも、大手の転職エージェントにはワークライフバランス求人がかなり多くあります。
転職エージェントでは定期的に情報交換会が開かれていて、それに参加したことがある私が感じるなかでは、中小規模の転職エージェントに比べてその数は目を見張るものがありました。
大手の転職エージェントでは、20代の転職支援を積極的に展開していることもあり、20代の求職者がワークライフバランスを期待する傾向にある両者のニーズが合致した結果と言えるでしょう。
ただ、大手の転職エージェントを利用するにしてもその利用の仕方が大事です。
大手の転職エージェントには、20代から50代まで幅広い年齢層のキャリアアドバイザーが在籍しています。
年齢が若い場合は転職支援実績はあまりないものの、自分と同じ年齢層なのでコミュニケーションは取りやすいという長所があります。
年齢が比較的高い40代前後のキャリアアドバイザーは、コミュニケーションはそうではないかもしれませんが経験は豊富にあります。
人それぞれにどの年齢層のキャリアアドバイザーが自分に合うかは違うと思いますが、私が推奨したいキャリアアドバイザーは、30代で女性のキャリアアドバイザーです。
30代のキャリアアドバイザーは転職支援を受けるには十分な経験がありますし、女性という性別によりワークライフバランスへの意識が高いため情報も多数持っています。
20代の求職者であれば、性別に関係なく30代の女性のキャリアアドバイザーがオススメだと思います。
ワークライフバランスは今の時代に即した立派な転職軸ではありますが、それで転職をするとそう簡単にキャリアチェンジすることはできませんので、かなりの覚悟が必要になります。
転職活動を始める前にしっかりと自問自答したなかでスタートするようにしましょう。