これから中小企業への転職を考えている人に、中小企業の内部事情や、転職するためのベストな方法などをお教えします。
中小企業への転職を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
中小企業を選択するという事について
中小企業というと、なぜかブラック寄りとか不景気、更には不安定などと言う人がでてきますが、これは大きな誤解です。
ブラック企業は大手企業にも存在しますし、大手企業こそ不景気の影響をもろに受けやすかったりします。
安定性についても、基本的に会社が設立してから長い中小企業は経営基盤がしっかりしていますし、2018年現在では、中小企業の経常利益が過去最高水準とのデータもでています。
中小企業は転職市場のなかでは、目立つ存在ではありません。
20代の転職希望者にとっては人気がある企業群とは言い難いのですが、中小企業を選択することは私は悪い選択だとは思せん。
あくまで個人の価値観や考え方により中小企業が一般的に持つ社風や制度が自分に合うと思えば、それで良いと思います。
中小企業に転職することのメリット
中小企業には、大手企業とは違った良さがあります。
1.選考時のライバルが少ない
まず大きなメリットとして、選考時のライバルが少ないということがあげられます。
20代の転職市場は大きくなりつつありますが、それでも大手企業や有名企業で内定をもらう事はそう簡単な事ではありません。そんな現状の中でも、大手企業と違い中小企業では中途採用の募集をかけても人員が集まらない事が多く、特に地方の中小企業では常に求人を出し続けている企業が多いです。
人が集中するところで転職活動をするより、穴場を見つけてそこで転職活動をした方が遥かに有利です。
内定率をあげたいのであれば、中小企業を中心に転職活動をすることをおすすめします。
2.裁量権があるのでスキルアップのスピードが早い
中小企業では、全体の人数が大手企業のように多くありません。その為、一人当たりに与えられる裁量権も多くなり、大手企業の同年代ではやらせてもらえないような仕事もやっていける可能性が高いです。
一人あたりの労働量が増えるだけと言われてしまうとそれまでなのですが、やればやるだけ仕事を与えてくれるので成長のスピードは明らかに早いです。
評価も実績に対して評価してもらえますので、20代後半で役職につく人も少なくありません。大手の評価に嫌気がさし、中小企業へ転職をしていく人も多いです。
ベンチャー企業ほどのスピード感はありませんが、ある程度の安定が担保される中で成長スピードをあげられるというのは、出世良くのある人にとっては魅力的です。
3.キャリアアップ転職もしやすい
仕事で結果を出していくという前提ですが、大手企業の同年代ではやらせてもらえないような仕事をすることもできるので、ある程度の実績や役職についていればキャリアアップ転職の選択肢も増えます。
転職市場ではスキルと実績が最も重要視されますので、20代のうちに中小企業で能力を高めておけば転職時にそれが有利にはたらきます。
中小企業へ転職する事のデメリット
中小企業に人が集まらないのにはそれなりに理由もあるわけで、いくつかのデメリットがあげられます。
1.年収が低い企業も多い
中小企業の1番のデメリットは賃金が安い場合があるという事です。20代の前半のうちはそこまで大手企業と差はありませんが、長く続けていった時に明確に年収に差が出始めてきます。
中小企業でも年収1000万以上もらえる企業もありますが、その割合は決して高くありません。※企業にもよりますが、中小企業でも年収400~500万ぐらいは十分狙える範囲です。
2.人間関係でのトラブル
中小企業は社内の人数は50人以下の場合がほとんどですので、日々仕事をしているなかで社内のすべての人と関わる事も普通です。
従業員の距離も近ければコミュニケーションもとれるのでそれ自体は良い事なのですが、一度人間関係が崩れると一気に働きづらい職場になってしまう可能性があります。
中小企業の場合は人数の多い企業みたいに仕事中に口を聞かなくても済むというわけにはいきませんので、自分で人間関係を修復していく必要があります。コミュニケーションをとる事が苦手な人にとってはこの部分がデメリットになりやすいです。
中小企業へ転職するための方法は?
中小企業に転職を希望した場合、どのような方法で転職活動をすれば良いでしょうか?
その方法をこれからお教えします。
中小企業への転職にはハローワークが良い
中小企業が今の転職市場であまり目立つ存在ではない理由は、中小企業が行う採用活動の方法にあります。
基本的に多くの企業は転職エージェントを利用して求人を公開し採用活動を行うのですが、中小企業の場合、転職エージェントも使いますがメインで利用する採用活動の方法はハローワークや地域の求人情報誌です。
特に中小企業とハローワークは非常に密接な関係にありますので、20代の転職希望者で中小企業も転職の選択肢に入れているのであれば、転職エージェントと共にハローワークを利用すべきだと言えます。
ちなみに、テレビなどでハローワークの映像が流れると、そこには中高齢の人が多く映っています。
そのイメージのせいか、
「20代という若い世代である自分はあまり利用しない方が良いのではないか?」
「ハローワークには若者向けの求人はないのではないか?」と、ハローワーク=中高年と考えている人も少なくありません。
しかし、あの映像はあくまで一コマです。
実際に利用すれば分かりますが、20代の求職者も多くの人が利用していて若年層向けの求人もかなり多くあります。変な先入観に惑わされることなくハローワークも利用しておきましょう。
中小企業がハローワークを利用する理由
中小企業がなぜハローワークを積極的に利用しているのか?それはハローワークを利用する事で企業に助成金がおりるからです。
近年の国の動きとして、企業が積極的に20代、または50歳以上の求職者を採用するに至った場合、中小企業に対して一定の助成金を支給しています。
20代に関して言えば、定職に就かない若者が急増したり新卒で入社した企業を早期に退職する若者が増えて社会問題に発展しています。
そこで、国は助成金を支払い企業が採用しやすい環境を整備することで、20代の転職希望者を積極的に採用するように働きかけている訳です。
企業からすると、採用するだけで助成金というキャッシュインを期待することができるのであれば当然利用しようと思うでしょう。
当然、日本全国の中小企業は助成金の存在を知っていますから、ハローワークに求人を依頼して積極的に採用するようになっています。
中小企業には、大手企業のような歴史があっても大手企業と同じような潤沢なキャッシュはありません。
少しでも採用費を抑えられ、なおかつ助成金を採用費に回すことができるので、中小企業にとってはメリットが大きいのです。
このような国の施策に乗ることで中小企業ならでは採用活動をすることができています。
中小企業の選考の流れは?
実際に中小企業の求人に応募した場合、どのような選考になるのでしょうか。
詳細まで下ると企業単位で異なりますが、平均的な内容をここでは紹介することにします。
応募した後はまず書類選考から始まると思ってください。
中小企業の書類選考はどれぐらいの通過率?
きっと大手企業や人気のベンチャー企業と同じように中小企業でも通過率は低いのだろうな・・・と思っていませんか?
全然そんなことありません。
実は中小企業の場合、書類選考通過率が5割超える企業もざらにあります。
通常であれば2割程度の通過率なのでかなり高いことが分かるでしょう。
本来、書類選考は応募者には何の意味もない選考です。書類選考は企業にとってメリットがある内容で、自社の採用活動の無駄を省くことや生産性を上げて早期に採用活動を終えることが目的になっています。
ですが、中小企業の場合は求職者側にも書類選考が通りやすいという大きなメリットがあるのです。
選考スピードには期待しないこと!
中小企業はベンチャー企業と企業規模的には同じです。
しかし、採用活動に関しては大手企業と同じ感覚を持っていて、比較的社風が穏やかでスピード感はありません。
そのため、応募してから数日で結果が出るということはあまりないと思っておいてください。
ベンチャー企業を中心に転職活動をしていると、ベンチャー企業のスピードが早いため、選考結果がすぐに出ない中小企業に対して自分は評価されていないかもしれないと消極的な考えになるケースもあります。
そうではなく、中小企業の社風がそうさせるだけであり、自身に問題があるということではありません。
適性検査はあるのか?ないのか?
これは歴史がある企業の選考の特徴になりますが、そういった企業では適性検査があります。
最近は導入する企業は少なくなっていますが、ある程度の規模や歴史のある中小企業では普通にあると思っていた方が良いです。
ただし、その適性検査も大手企業とは目的が微妙に違います。
大手企業の場合は選考要素がかなり入っているなかでの適性検査になります。一方、中小企業の適性検査の目的は、選考要素ではなく単なる個人的な能力を知るぐらいのものです。
実際に、中小企業が導入している適性検査を何度か経験で受検したことがありますが、一般的に言うSPIなどのような言語・非言語という内容よりも性格診断が中心になっていました。
もちろん、SPIなどで言語・非言語を確認するケースもありますが、その場合でも、仮に悪い点数を取ってしまったとしても適性検査の結果で見送りになるということはまずないと思ってください。
なぜならば、お伝えしていた通り中小企業は20代から人気があまりないからです。
仮に大手企業のように選考要素が含まれた適性検査をすると、恐らく中小企業はいつまで経っても20代を採用することはできなくなるのではないかと思います。
特に今の転職市場は、全体的に見ても売り手市場になっていることから、採用する側がである企業は不利になっています。
不利な状況で、人気がない中小企業が適性検査で選考要素を取り入れてしまうと、イメージ的には売り手市場のダブルパンチという自らの首を絞めている自虐行為にしかなりません。
中小企業の面接内容は?
すでに何社か選考を受けたことがある人は各面接の面接官がどのようなタイプなのか分かるでしょう。
一般的に、面接が進むにつれて面接官の年齢層は上がりますし、最終面接となればその企業の社長や取締役が担当します。
ところが中小企業の場合、多くの場合が最初の時点で人事課長クラスの人が面接を担当します。
選考自体はかなりラフというか簡単で、20代であれば半分を超える割合で内定を勝ち取ることができると思います。
もし今転職活動をしているなかで、何かしらの諸事情によりなかなか企業の選考で思うような成果を出せていないという方は、中小企業がベストな選択だといえます。
余程のことがない限り、書類選考通過率が高く、面接通過率も高いです。
中小企業だからブラック企業が多いという事はまず無いので、選考ハードルが低い=転職してからが大変という一般的な方程式は該当しません。
転職市場のなかでは、選考ハードルが低いとその企業はブラック企業であり、採用活動にも力を入れていないため、20代の求職者は労働力確保としか見てないという考えが定着しています。
しかしこれは間違いであり、中小企業の場合、採用活動に力を入れてはいるものの、それに見合うだけの応募数がありませんから、選考ハードルを引き下げざる得ないということが実態にあります。
転職後はギャップに困惑するかもしれない
今の日本では実力主義の人事考課を導入している企業の方が圧倒的に多いです。その為、より早い出世、収入アップを求めて転職を考える人も増えてきています。
中小企業はそういった意味でもおすすめできるわけですが、中には時代の流れにうまく乗り切れていない古い体質の会社もあり、いまだに年功序列の人事考課を中心に経営を行っている企業もあります。
その為、実力主義の企業から年功序列の企業に転職するとそのギャップに困惑する可能性があります。
もちろん安定を期待する人もいますので、その価値観を持っている場合は年功序列制度の中小企業への転職は理にかなったものではあります。早い成長を目指している人にとっては、そのギャップによりストレスを抱えることもあるでしょう。
また、デメリットでお伝えしたように同世代の友人や知人よりも給料が安いということはよくある事として考えられる環境ですから、このあたりは妥協点として考えておかなければ、転職後に不満を持ち始めるかもしれません。
中小企業のギャップは他にもあり、それは、経営者との距離感と社内の雰囲気が少し暗いということです。
というのも、組織に在籍する社員の年齢層が高いこともあり、あまり口数が多くない落ち着いた雰囲気が醸成されているため、仕事中にコミュニケーションの一つである雑談をすることが難しい雰囲気です。
「それぐらいはどうってことない!」と思っているかもしれませんが、中小企業を退職しようとする20代の中には、それを理由にする人も多いので、自分が思っている以上に働きにくい環境にあると思ってください。
転職したとしても、自分と同世代の社員よりも明らかに年齢が上の社員の人の方が多いですから、コミュニケーションのきっかけづくりにも苦労するのではないかと思います。
もちろん、これもそれぞれの社風によります。そういう企業もあるということです。
中小企業への転職は十分可能だが、転職後のイメージが大事!
お伝えしてきたように、中小企業の採用活動はかなり苦戦しています。
特に20代は大手企業やベンチャー企業に流れることが多いため、それを防ぐために採用基準を引き下げるなどの対策を取っている訳ですから、どれだけ転職しやすい環境にあるかはご理解頂けると思います。
もし、私が現在20代で転職活動中だとしたら、中小企業を転職初期段階から第一希望にするのではなく、転職活動の進捗が悪いときに選択肢に入れると思います。
中小企業に限らず企業に転職するためには転職エージェントを利用することがベストな方法であり、キャリアアドバイザーも恐らく私と同じようなことをアドバイスするのではないかと思います。
今の転職市場は第二新卒を中心に20代は転職しやすい状況下にあるなかで、そこまで苦労することなく転職できる中小企業を最初から第一希望にする必要はないと思います。
中小企業は組織が大人であるため、社員の働き方についてかなり優しい制度を持っている分、昇給や昇格についてはあまり良いとは言えません。
転職という一点だけをフォーカスして考えるのではなく、中小企業への転職した後の自分の姿をしっかりとイメージしたなかで選考を受ける必要があると思います。
社員に優しい文化を持っているので、恐らく転職後は長く働けるとは思いますが、転職の目的にお金を期待するのであれば、あまり得策とは言えないように思います。
古い歴史を持っている中小企業では変化に柔軟に対応できる社風もないに等しいです。
そういった企業では、これからのトレンドを押さえた斬新的なアイデアは否定されることも多いでしょうから、自分が古い体質の文化や社風にどこまで対応できるかがポイントになると思ってください。